一週間

 渡英からちょうど一週間、今日でウェルカムウィークも終わり。生活面のだいたいの手続きは済み、ようやく一息ついたところだ。

 残念なお知らせだが、今年度の演劇科の大学院の新入生は私一人らしい。この一週間、交流会系のイベントにいろいろと顔を出したが、どおりで見かけないわけである。近接分野で少し親しくなったのは、出版社で働く社会人学生のお兄さん(おじさん…?)で、クリエイティブライティングの博士課程の人だ。文学作品のページのレイアウトやスタイルについて研究しているとのことで、ぜひサラ・ケインやキャリル・チャーチルの作品について聞いてみたいと思う。(で、話していて改めて認識したんだけど、この辺の作品の実験性って、ポストドラマへ一足飛びする前にモダニズムちゃんと固めないとあかんなぁと思った。)

 今日は所属カレッジ(人文系全般が入るカレッジで、英文学や美術、歴史、地域研究などと並んで演劇科がある)のインダクションがあり、改めてスーパーバイザーと挨拶。グレアム先生(まだ直接はファーストネームで呼べていないけど)とは、1月に早稲田のシェイクスピアシンポジウムで会っており、その後合格が決まった4月に個人的にロンドンへ行った時にも日帰りでバーミンガムへ行って会ってきた。ちなみに4月の再会では駅からキャンパスまで迷子、約束の時間に大遅刻という大変な失態をやらかし、今日もそのことを謝ったほどなのだが、にこにこと笑いのネタにしてくれた。いいひとだ。グレアム先生は、肩書は教授なのだがバーミンガムには着任してまだ2年目、私がここでの最初の論文指導生となる。専門領域もごりごりの現代英演劇、戯曲研究の人なので、留学生としては初になるのだろうか。彼自身はバーミンガム大のOBでもある。年齢的に、ケインと同時期に在籍していたかもしれず、またディヴィッド・エドガーの教えを受けられた年代のはずで、いずれその話も聞けたらいいなと思う。

 コーヒーを片手に、最初の面談のアポをとり、今後の方針をざっくりと話した。年明けまでに、私の研究対象であるサイモン・スティーヴンスと過去20年程度のNew Writingに関する文献のLiterature reviewを書き上げること、をさっそく言い渡され、私にクリスマスホリデーはない、と若干顔が引きつる。

 演劇科に来たのに新入生いない、は若干どころではなくがっかりではあった。東京での院生生活で相当苦労したことの一つは(舞台芸術のみの学科ではなかったにせよ)周囲に演劇専攻の人が少なかったことだったからだ。まぁしかし、ここまでくるともうそういう星のもとに生まれたのだと開き直るしかないのだろうし、もちろん先輩院生はいるのだから、気長にやるしかないかなと思う。

(ところで、バーミンガム大学はシェイクスピア・インスティテュートがあり、シェイクスピアおよびエリザベス朝演劇/文学研究の人は少なくないはず。たぶん、演劇科、英文科、映画学科あたりで散らばっているっぽい。しかし出会わない。)