Bluebird by Simon Stephens at Katzpace

観劇日:10月29日19時半

演出:Rob Ellis

 

 全然知らない座組ながら、スティーヴンス作品だし観とかねば、という気分でちょっと無理して観劇を決めたのだけど、正直そこまで頑張っていかなくてもよかったかという感じではあった。全く若手のプロダクションで、客席も友人とか身内の人が多いかなぁという印象。観れないほど下手ではないけど、単純に経験不足の物足りなさで、うーん…という出来。

 とはいえ収穫もあって、一つはKatzpaceという初めてのヴェニューに行けたこと。バラ・マーケットのすぐそばのドイツ風レストランの地下に、ブラックボックス型のスペース。客席は100人にも満たないだろうか。ゾーン1エリアでこの規模のヴェニューがあるとは知らなかったので、ちょっとびっくり。まだ新しいのか、私も今回初めて名前を聞いたけれど、若手や小さいカンパニーの足掛かりになる場所ならいいなぁと思う。(でもハコ借りるのいくらかなぁ…てのは気になった。)

 もう一つは、Bluebirdの上演は初めて観たのだけど、改めて良い戯曲だなぁと再認識できたこと。スティーヴンスのデビュー作で、しかしながら本人がエッセイでネタにしているくらい、物語や構成がコーナー・マクファーソンのThe Weirともろ被りな上(各登場人物のパーソナルな語りが続き、クライマックスは主人公の娘の死についての話。Bluebirdはタクシー車内、The Weirはアイルランドのパブが舞台)、初演も1年しか違わず、どちらもロイヤル・コートが初演劇場。そして出来としてはThe Weirの方がやっぱり優れている。

 ただ、The Weirがかなり役者を選ぶ作品であるのに対し、Bluebirdってわりと誰がやっても面白いんじゃないの、という印象を持った。戯曲に忠実にやればそれで及第点には達するというか。タクシーという場の設定や、クライマックスの主人公と元妻の再会のあたりは、「語り」以外の要素で作品をサポートできるようになっていて、いい仕掛けだよなと思った。(The Weirはクライマックス含め、登場人物のモノローグが4~5人分ひたすら続くという構成なのでデリバリーの上手い人でないと厳しい、けど上手くいくと号泣もの。)あと、プロップ少なくても出来る形にしてあるのも若手にやさしい。(これはおそらく90年代当時のNew Writing若手作家への技術的要請だろうと思うけど。)

 観た後の感想がこれじゃ、プロダクションの人たちにはなんとなく申し訳ないのだけど、個人的には色々発見があって、交通費無駄にはならなかったですよと。